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る、まで発音できない

「君はここにいていい人じゃないんですよ」
 少し微笑んでそう言えば、彼女の嬉しそうな笑顔は凍りついた。
 すみません、こんなことをあなたに言うときが来るなんて。
 来なければいいと思っていた。
 来ないで欲しいと願っていた。
「君の帰る場所はここではないはずですよ。・・・彼が待ってます」
 この一言がきっと決定的だった。
 溢れそうになる涙を必死に堪えるように顔を背けて、そのまま振り返りもせずに彼女は駆け出していた。
「む・・・っ」
 むぎさん、そう呼んだら、呼べたら、彼女は止まってくれただろうか。
 もしかしたら、振り向いてくれたのだろうか。
 もっと彼女を傷つけずに引き離すこともできただろうに、そう考えて長いため息が漏れた。上手く行かない。
 傷つけたくなんてないのに、でも少しでも優しい方法で引き離そうとすれば、そのまま引き止めそうになる。
 彼女の幸せはここにはない。
 彼女の幸せを望むなら、今どこまで傷つけたとしても、彼との未来を選ばせるべきだ。
 ・・・捨てるつもりはありません。私が捨てられるんです。
 自分で言った言葉が蘇る。
 覚悟していたのに。
「・・・耐えられる、と思っていたんですがね」
 彼女の去った方に視線を投げてそう呟く。
 本当に言いたかったのはあんな言葉ではなかった。
 私にどんな過去があろうとも、彼女が一緒にいてくれると言ってくれるのが嬉しかった。
 それでも。彼女を想うなら。
「本当に大切なんです・・・あなたが」
 あんなに傷つくあなたを本当は見たくなんてなかった。
「・・・・・・・愛して、」
 る。
 彼女がいないと分かっていても。
「これだけ傷つけて言えるわけがない――・・・」




 こんなに苦しむのなら、いっそ出逢わなければよかったのに―――





私にしてはかなり短く。
ラブラビ中にこんな台詞があったらいいなあと。
配信前だから書けたんですがね。
プレイ後の今考えると、かなり違ったかなあ。
◇ as far as I know 〜言い換えると〜
掲載: 08/05/06