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 桜の舞う通学路。
 見上げた桜は毎年のように、綺麗に咲き揃って、薄紅色の花びらを散らせている。
 去年も同じようにこの桜を見上げたのに。




「おや、今日は早かったじゃないか。そんなに俺に会うのが楽しみだった?」
「もう、違います!たまたま早く起きただけです!」
「可愛くないな。そこは、素直に会いたかったって言っておくものだよ」
「実際、私がそう言ったら気味悪そうにするくせに…」
「よくわかってるね。…今日は少し早い。学院に送る前に、公園に寄って行こうか。誰にも邪魔されずに花見ができるよ」






今年は、こうして唐突に甘やかしてくれる恋人ができた。






「先輩」
「? どうかしたのか」
 言いながらも、早く乗れと車のドアを開けて催促している。
「…。いーえ、なんでもないです」
「なんなんだ。…まったく、お前と話すと疲れるよ」






 去年も同じようにこの桜を見上げたのに。
 今年は去年以上に美しく、生き生きと咲き誇っているように見えるのかもしれない。
 大好きな先輩が隣にいるからですよね、きっと。
 その言葉は、もう少し先に取っておこう。今はまだ照れくさくて言えないから。
 いつか、照れも何もなく言えるようになるかな。――言えるくらい、一緒にいられるかな。




久々の王日以外の更新。
桜と言ったら木日と思う辺り、アンコールEDが相当気に入ったらしいです。
月の咲く空 これからの二人に30のお題
掲載: 08/09/12